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えとせとら

丘本浩一blog -よけいなものこそ-

あけぼの

あけぼの

あけぼの

 

寺尾紗穂さんが去年よく聴いていた1枚として紹介されていたのが、この折坂悠太「あけぼの」

気にはなっていたけど、その音を聞くことがないまま、時は過ぎ、

 

まずは寺尾紗穂さんについて、去年初めてライブを観て、その愚直さと聡明さを目の当たりにしてから、より一目を置くようになった存在。この人の目、視点は鋭くて優しくて尊敬する。

新譜「わたしの好きなわらべうた」は大事に聴こうと思って、買ったものの、まだ聴けていない。文筆活動もされていて、本もこれから読んでみようと思っている。

MVが公開されているこの曲はとにかくカッコイイ。


寺尾紗穂 - 七草なつな

わたしの好きなわらべうた

わたしの好きなわらべうた

 

 

本題に戻って、折坂悠太さんのライブを観た。カーテンズと雲州堂で共演、9月1日、いいタイミング。

ライブを観ていて、自ずと観る側の集中力が上がることがある、耳が開かれていくとも言えそうな、久々のそれを体感した。寺尾紗穂さんのライブのときもそうだった。

ガットギター弾き語り、片足を足台に乗せてギターを大きく傾けて弾くクラシックギタースタイル、間にピアノでの弾き語りも挟む。荒ぶるようでコントロールされた歌声は民謡のような響きもありながら、聞こえてくる歌詞からは現代的な日常描写も読み取れた。

このCDにも入っている「きゅびずむ」の一節、オーソドックスなメロディを無国籍風に聞かせる印象的なリフレインに続く

暮れゆく太陽がきゅびずんで見える

この描写には本当に参った。

ライブではやっていなかった、ポップセンス感じさせる2曲目「角部屋」で歌われるのは

ミートイズマーダー聴きながら 震えて待つよ

The Smithsか、平成生まれの若者がスミスのことを歌っている、私の分からないスミス。

ライブの演奏全体からは土着的な「和」の濃厚な匂いと、そこには収まらない、収めようとしない、飛び立とうとするような気概を感じた。観終わった後はふとホセ・ゴンザレスとかニック・ドレイクが聴きたい気分になった。

Pink Moon

Pink Moon

 

  

この「あけぼの」はライブの思い切りの良さとは違って、思慮深く作り込まれた印象で、ギターと歌に打楽器やピアニカなどが全て本人の演奏で程良いアクセントとして、時に大胆な編集を経て加えられている。

そして演奏だけでなく録音からマスタリングまで全て自分で行われた、という徹底ぶり。

平成元年生まれの若者が、自らのコントロールのみで、自覚的に作り上げた作品のタイトルが「あけぼの」

これから開かれてゆくかもしれない、新しい時代の幕開けを思わせる1枚、ああ、参った。

これは2014年録音の作品だから、今まさに開かれた状態の彼を目の当たりにしたのかもしれない、と、考えると、またドキっとする。(この日は新譜「たむけ」のリリースツアーだった、あえて新譜は買わずに「きゅびずむ」の入っているこちらを買った)

 

昭和生まれのおじさん見習いも、姿勢を正そう